3Dプリンターのファイル形式とは?各々の特徴について解説

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3Dプリンターのファイル形式とは?各々の特徴について解説

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製造業などの分野で脚光を浴びている3Dプリンターですが、3Dプリンティングには元となるデータが必要であり、そのデータを適切なファイル形式に変換する必要があります。

3Dプリンターの導入を考えていても、3Dプリンターに対応しているファイル形式について、詳しく理解している方はそう多くないのではないでしょうか。

そこで今回は、3Dプリンターに対応している代表的なファイルの特徴や、データをやり取りする際に便利なファイルなどについて解説していきます。

関連コラム:3Dプリンター用データの作成方法は?データ作成後の手順やデータ作成時の注意点まで徹底解説

3Dプリンターに対応する代表的なファイル形式

3Dプリンターで何かを出力する時にはモデリングのデータが必要になるのですが、そのデータで造形をするには、ファイル形式を変換する必要があるのです。

ここでは、3Dプリンティング時に使用される代表的なファイル形式についてご説明いたします。

STL

このSTL(拡張子.stl)は、3Dプリンターで造形する際の標準的な入力ファイルで、普及率は群を抜いています。3Dデータ形式のjpeg的存在で、汎用性が高いのが特徴。

その歴史は長く、3Dプリンターが登場し始めてから30年以上、3Dプリント業界のスタンダードファイルであり続けています。

また、アスキー形式のSTLファイルはテキストエディタなどで編集することが可能であるため、修正しやすいといった利点があるのです。

基本的に多くの3DプリンティングではこのSTLファイル以外を使うことはあまり多くないため、王道のファイル形式と言えます

OBJ

OBJ(拡張子.obj)のファイル形式は、複数の色や素材を使用したデータを保存できる点が特徴です。

STLとは違い発光、テクスチャなどのデータを定義することができます。

3Dプリント業界のマルチマテリアル化、マルチカラー化は必須と言っても過言ではないため、今後、単色のみ対応のSTLに取って代わるファイル形式になるかもしれません。

ただし、STLに比べるとデータ自体がかなり複雑で、例えば壊れたOBJファイルを無理に修復しようとすると問題が発生しやすく、容易には修復できないところが欠点として挙げられます。

また、現状ではサポートしているCADも足りていないため、使うためにはプラグインを使用する必要があるなど、少々扱いづらい点もデメリットと言えるでしょう。

VRML

VRML(拡張子.wrl)は、「Virtual Reality Modeling Language(仮想現実モデリング言語)」の頭文字を取ったもの。

Webサイト上で3D-CGを表現するためのファイル形式として開発されました。

Webブラウザ上で利用されることを前提に設計されており、ポリゴンメッシュデータに加え、色や画像によるテクスチャ、光源による明るさや音などの情報も持つことができます。

そのため、ファイル容量が大きくなることが多いのが難点ですが、VRMLファイルはSTLファイル同様にアスキー形式で記述されているため、修正が容易に行えるのは利点でしょう。

また、多くの3次元モデリングツールには、VRML形式での保存機能がついているため、汎用性が高い点もメリットと言えます。

3DS

こちらの3DS(拡張子.max)は、Autodesk社の「3D Studio Max」「3ds Max」というソフト専用のファイル形式です。

後半でご説明しますが、中間ファイル形式として使用されることが多く、OBJファイルやVRMLファイルのように色情報を含む各種情報を持つのが特徴です。

また、ポリゴンメッシュの数には制限がありますが、VRMLよりもファイル容量を軽くすることが可能です。

AMF

こちらのAMF(拡張子.amf)は、STLファイルの弱点を補うために開発された新しいデータフォーマットです。

このファイルは、異なる材料を組み合わせて一度に造形させることや、グラデーションを表現させるマルチカラー情報などを持つのが特徴

STLと同様にポリゴンメッシュで表現されますが、STLでは持つことができない色、材料、テクスチャなどさまざまな情報を持ちながら、かつファイルサイズを小さくできるような工夫が施されています。

ただし、AMFが導入された2011年のタイミングでは、まだマルチカラーやマルチ素材の必要性も薄く、STLで十分という雰囲気が強かったため、各種ソフトウェアはAMFの採用に消極的でした。

そのため、これだけハイクオリティなファイル形式にもかかわらず、出遅れてしまったという経緯があります。

今からAMF導入を検討するのも、もちろん遅くはありませんが、すでに3MFという次世代の覇権候補が現れています。

3MF

次世代の覇権候補、3ML(拡張子.3mf)は、2015年にマイクロソフト社やオートデスク社など大手企業が一体となって開発した新しいフォーマットで、Windowsが紙に印刷するのと同じように3Dデータを扱えることを目標としたファイル形式です。

AMF同様に、データ内部にポリゴンメッシュ、色、材料、テクスチャなどさまざまな情報を格納していますが、AMFよりも軽いのが特徴で、3Dプリンターに限らず、他の工作機械でも使用できるといった、まさに汎用性の最先端をいくファイル形式。

3MFは国内の3Dプリントビューローでも扱えるところが増えてきており、次世代のフォーマットとして注目を浴びています。

ファイルの解像度について

3Dプリンターで3Dデータを読み込むには、3D-CADなどで3Dプリンターが認識できるファイル形式に書き出す必要があります。

上でご説明した、もっとも一般的なファイル形式であるSTLを例に挙げてみましょう。

STLファイルは、3次元の立体を小さな三角形の集合として表現しています。

そのためSTLファイルに書き出す際の解像度の設定は、曲面の粗さや細かさを左右し、造形物の仕上がりに影響するのです。

解像度が低い場合は、STLを構成する各三角形が大きくなり、滑らかな表面や細部を表現できません。全体的にガタガタとしたフォルムになってしまいます。

逆に解像度が高いと、精細なデザインが表現可能になりますが、その分ファイルデータサイズが大きくなり、処理が遅くなってしまうといったデメリットが。

また、3Dプリンターの仕様や素材によって、造形できる細かさには限界があるため、解像度の設定は、そのファイルでもっとも精度が出る高さ、かつ、プリンターの仕様内におさまる設定にしなければいけません。

ご自身での最適な設定が難しい場合は、メーカーや3Dプリンター業者に問い合わせるのもひとつの手です。

3Dデータの受け渡しをする際に活躍するファイル

3DSの項目で出てきた「中間ファイル形式」。一体何のことかと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

中間ファイル形式とは、データのやり取りをスムーズにさせるファイル形式のこと。

例えば、もしも送信したファイルがソフトウェアに依存する形式だった場合は、受け取る側も自身と同じソフトウェアを持っていなければなりません。

自身と受け取る側のソフトウェア環境が異なった場合のデータ受け渡しに活躍するのが、中間ファイルです

中間ファイルは相手のソフトウェア環境を気にすることなく配布が可能であり、ビジネスの世界では中間ファイルによる3Dデータの送付が主流です。

事前に先方のソフトウェア環境の確認を取り、相手が自身と同じソフトウェアを使用していればネイティブデータで、別の場合は中間ファイルとしてデータを送信するようにしましょう。

また中間ファイルでも、色情報の有無、アニメーション情報の有無により最適なファイル形式が変わってきますので、その拡張子が保持できる情報を考慮してファイルを選択する必要があります。

日本3Dプリンター株式会社が、製品や目的に合ったファイル形式をアドバイスいたします!

一口に3Dプリンティングのファイルといっても、その種類はさまざまです。

基本的にはSTL形式を使用する場合が多いはずですが、場合によっては、他のファイル形式を使用しなければいけない場面もあるでしょう。

ファイル形式を選択する場合は、目的に応じて検討する必要があります。

目的が明確であればあるほどファイル形式を選びやすく、ミスマッチな形式を選ぶ可能性も低くなるため、あれを作りたい、あれを実現したい、といった明確な目的を持つようにしましょう。

また、目的だけではなく、製品に合ったファイル形式を選ぶといったことも、もちろん重要です。

使用するファイルに迷った場合、もしくは、その製品で使用できる形式がわからないといった場合は、日本3Dプリンター株式会社がお手伝いいたします。

3Dプリンティングの専門知識を持ったスタッフが多く在籍しておりますので、ぜひ、お気軽にご相談ください。