3Dプリンターの精度とは?精度を決定する要素を解説
2021.06.30 更新日:2024.03.05
- 3Dプリンター
3Dプリンターへの注目が高まっている現在、個人で購入できる安価なものから、法人向けのハイエンドなものまで、さまざまな3Dプリンターが販売されています。
そんな3Dプリンターで目的の物を美しく造形するには、「精度」の知識を身につけておかなければいけません。
しかし、3Dプリンターの導入をご検討中の方の中には、3Dプリンターの精度についてあまりよく理解していないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、3Dプリンターの「精度」をはじめ、精度を決定する要素などについても詳しく解説していこうと思います。
3Dプリンターの「精度」とは
3Dプリンターの「精度」とは、「細かさ・精密さ」を表すものです。
その「精度」には大きく分けて、データ通りに造形されるという意味での「寸法精度」と、表面の仕上がりという意味での「表面精度」の2つが存在します。
「元データとなる設計図と比較して、完成した造形物の寸法と滑らかさの誤差がどれくらいあるか」と表現すると、具体的なイメージがつきやすいかもしれません。
3Dプリンターの精度を決める要素
3Dプリンターの精度を決定する要素には、大きく4つ存在します。
仕様表には記載がない項目もあり、実際に造形をしてみないとわからないことも多いため、3Dプリンター導入をご検討中の方は、参考になさってください。
Z方向の積層ピッチ
最初にご確認いただきたいのは、Z軸(上下方向)の積層ピッチです。
これは多くの3Dプリンターの仕様書に記載があるため、容易に確認することができます。
積層ピッチが細かければ、表面が滑らかになります。
積層ピッチは数十μm~数百μmまでと、造形方式によって幅が広いのが特徴。
造形物にもよりますが、積層ピッチが小さいと滑らかに仕上がるのが一般的です。
X-Y方向の解像度
3DプリンターにとってZ軸の積層ピッチと同様に重要なのが、X-Y軸(左右・前後方向)の解像度です。
造形方式によって仕様書での単位の記載が異なりますが、DPIやmmで表記されています。
こちらはZ軸とは逆で、DPIが大きいと精度が出やすく、DPIが小さいと寸法にバラつきが出るのが一般的です。逆に、mmの場合は小さいほど精度が出やすい特徴があります。
造形物が冷える段階で起こる反り返り
3Dプリンターは積層の過程で造形物に熱が加わります。
特に高温になる熱溶解積層などの造形方式の場合には、造形物が冷える段階で反り返りが出てしまうのです。
場合によっては積層ピッチや解像度よりも精度に影響を与えることもありますので、温度の調節が必要になる、あるいは、造形する物や材料によっては造形方式から変更する必要があるでしょう。
サポート材の除去
造形物自体に精度が出たとしても、造形物の表面にサポート材が残っていたら誤差が生じてしまいます。
造形物の精度・完成度を向上させるためには、表面に残ったサポート材をしっかり落とす必要があるでしょう。
関連コラム:3Dプリンターのサポート材とは?
安価なものとハイエンドなものに精度の違いはある?
3Dプリンターは高価なものであるため、なるべくコストを抑えたいとお考えの方もいらっしゃると思います。
では、安価な3Dプリンターとハイエンドな3Dプリンターとでは、同じ設定でも精度に差が出てしまうものなのでしょうか。
安価な3Dプリンターの特徴
まずは、安価な3Dプリンターの特徴をご説明します。
精度、安定性はもちろん、速度についても触れますので、比較検討の参考になさってください。
精度
冒頭でお伝えした、「寸法精度」と「表面精度」の2点から、安価な3Dプリンターの精度を見ていきましょう。
データ通りに造形されたかどうかの「寸法精度」については、安価な3Dプリンターの場合、一般的には変形しやすく、反り返りが発生しやすいと言えます。また、機種にもよりますが、データを忠実に再現しきれない場合も少なくありません。
表面の滑らかさを測る「表面精度」についても、残念ながら荒いものが多い傾向にあります。
安定性
安定性とは、装置のトラブルや造形失敗の頻度を指します。
安価な3Dプリンターの場合は、造形が途中で止まってしまうといったトラブルが多く、造形物も崩れてしまったり、フィラメントが糸状に固まったりすることも。
ご家庭で趣味の物を造形する分にはそれほど大きな問題にはならないかもしれませんが、業務用として3Dプリンターを導入するのであれば、安価なものは避けたほうが無難と言えるでしょう。造形し直しが発生し、業務効率も悪くなってしまいます。
速度
もはや説明不要かもしれませんが、速度とは、「造形スピード」のことを指します。
安価な3Dプリンターでも高速造形を可能にしている機種も存在しますが、その分、精度に影響が出ることもあり、速度と精度を両立させるには限界がある場合が多いです。
安価な3Dプリンターをご検討の方は、なるべく「精度」に振り切った機種を選択することをおすすめします。
ハイエンドな3Dプリンターの特徴
続いて、ハイエンドな産業用3Dプリンターの特徴についてご説明します。
比較しやすいよう、安価な3Dプリンターと同様に、精度、安定性、速度の項目を確認しましょう。
精度
ハイエンドな3Dプリンターの場合、「寸法精度」については、変形しにくく、中には反り返りを抑える機能がついているものもあり、精度が出やすいのが特徴です。
「表面精度」についても、均一で滑らかな表面精度を誇り、サポート材を除去する際も、表面の荒れが少ない傾向にあります。
安定性
装置のトラブルや造形失敗の頻度についても、優秀な傾向にある産業用3Dプリンター。
装置トラブルは安価な3Dプリンターと比較して起こりにくいですし、プリンターの性能による造形失敗は安価な3Dプリンターに比べてそうありません。
ただし、安価なものにもハイエンドなものにも言えることですが、造形失敗というよりは、ラフトと造形物の隙間が近すぎて、造形完了後にラフトが剥がしにくいといったトラブルは起こり得るため、ラフトと造形物の隙間設定は0.3mm弱がおすすめです。
速度
ハイエンドな3Dプリンターの造形スピードについては、実はそこまで期待できません。
というのも、ハイエンドな3Dプリンターは高精度がより意識されているため、造形スピードをあまりに高速化してしまうと、その精度を担保できなくなってしまうのです。
しかし、高精度と高速性の両立を意識して製品開発がされている機種が多いのも事実。
積層ピッチを厚くすることで時間の短縮を可能にする「高速モード」などを搭載している機種もあるため、専門業者に問い合わせることで、最適解を得られるかもしれません。
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一口に3Dプリンターと言っても、今回ご紹介したように、安価な物から高価な物までさまざまです。もちろん、その中間クラスの3Dプリンターも多く存在します。
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