プジョー207スパイダーのEV化プロジェクト
2025.10.28 更新日:2025.10.28
- メトロジー
- 3Dスキャナー
- 製造業
2024年後半、ESTACA Lavalの学生たちは、プジョー207スパイダーのレースカーを100%電気駆動のヒルクライムカーへ改造する大規模な研究開発プロジェクト「FUJ-E」を開始しました。
このプロジェクトの成功には、エアフロー最適化やカスタム部品の設計、チーム間の連携を可能にするため、シャーシとボディの正確な3Dモデルが不可欠でした。その実現のために、SHINING 3Dの技術が導入されました。

ESTACAフォーミュラチーム
挑むべき課題
プジョー207スパイダーは内燃機関レース用に設計されていたため、FUJ-Eチームは以下の主要な課題を解決する必要がありました。
- ・内燃機関の撤去: エンジン、排気装置、燃料タンクなど、既存の熱関連部品をすべて取り外す。
- ・EVパワートレインの統合: 総重量を900kg程度に抑えつつ、220kW(約300馬力)の電気駆動システムを搭載する。
- ・バッテリー容量と重量のバランス: 過度な重量増を避け、複数回のフル登坂が可能な十分なバッテリー容量を確保する。
- ・内部構造の再設計: エンジンマウント、バッテリー配置、冷却、電子機器など、車両内部の構造を全面的に見直す。
![]() プジョー 207 スパイダー |
![]() プジョー 207 スパイダー |
ソリューション:FreeScan Trak Nova
1. ボディスキャン
最大限の精度を確保するため、Novaトラッカーの校正・設置後、車体のスキャンを複数段階で実施しました。作成された高精度の3Dモデルは、エアフロー解析、ボディ改造、およびカスタムパーツの設計に活用されます。
![]() プジョー207スパイダーのボディスキャン |
![]() プジョー207スパイダーのボディスキャン結果 |
2. シャーシスキャン
次に、マウントや車体の設計に必要なシャーシの正確な3Dモデルを得るため、ボディ部品を取り外してSHINING 3Dの機材でスキャンを実施しました。
このプロセスにより得られた正確な3Dモデルは、モーター、バッテリー、冷却システム、配線などの電気駆動コンポーネントをデジタル上で組み込むための基盤となります。また、このモデルは機械的制約の予測や、利用可能なスペース内でのコンポーネント配置の最適化にも活用されました。
![]() プジョー207スパイダー |
![]() プジョー207スパイダースキャン結果 |
3.3Dスキャンによるデジタルデータ
最終的に、スキャン後のデータ処理によって、以下の2つのファイル(モデル)が得られました。
- ・3Dボディモデル:エアフロー解析用。
- ・3Dシャーシモデル:後付け部品の設計用。
![]() 車体3Dデータ |
![]() シャシー3Dデータ |
これらのファイルは高精度のメッシュモデルであり、STL形式でエクスポート可能で、ESTACAの学生が使用する主要なCADソフトウェアと互換性があります。
このデジタル化のおかげで、各チームは車両を分解することなく、信頼できる共通のデジタルベースから作業を進めることが可能になりました。これにより、以下の作業が簡素化されました。
- ・エアフローシミュレーションと解析
- ・部品マウントのカスタム設計
- ・チーム間の技術的な計画立案
教育と連携
ESTACAの学生が主導したFUJ-Eプロジェクトにより、SHINING 3Dは車両の完全な3Dスキャンという重要な工程で技術サポートを提供することができました。このパートナーシップを通じて、現場では製品の専門知識、技術指導、そして知識の共有が行われました。
FreeScan Trak Novaについて

Freescan Trak NOVAは、オールインワンの3Dスキャンシステムとして複数のスキャンモードを搭載した3Dスキャナーです。小型のスキャナーであるTE NOVAと、大型スキャナーとトラッカーの2つの役割を備えたUE NOVAの二つのデバイスで構成され、リアルタイムトラッキングモード、フォトグラメトリーモード、ワイドレンジスキャンモードの3つのスキャンモードで手のひら大から超大型ワークまで高精度な測定が可能な3Dスキャナーです。







