炭素繊維対応3Dプリンターとは?

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炭素繊維対応3Dプリンターとは?

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主に製造業の現場で欠かせない存在となっている3Dプリンター。
そこから造形されるパーツは、自動車や航空宇宙領域などにおいて必要不可欠であり、年々活用される場が広がってきています。
そんな3Dプリンターではさまざまな材料を扱うことが可能ですが、中には炭素繊維に特化した炭素繊維対応3Dプリンターというものも存在します。
本記事では、炭素繊維対応3Dプリンターのメジャーどころである、Markforged独自の長繊維カーボン材料特化3Dプリンターの特徴などをご紹介しながら、炭素繊維対応3Dプリンターの基本知識について解説していきます。
3Dプリンター導入にあたって炭素繊維対応のものをお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

3Dプリンターで扱える炭素繊維素材

3Dプリンター

3Dプリンターで扱うことのできる炭素繊維素材には2種類あります。

一つ目は、樹脂に炭素繊維を混ぜ込んだフィラメントです。
フィラメントは線状のものがスプールに巻かれた状態で販売されていますが、樹脂を線状にする前に、溶けた樹脂に炭素繊維を混ぜ込んでからフィラメントとして製造したものがこれに該当します。
プラスチックが柔らかい時に樹脂よりも高強度な粉や繊維を混ぜると、粉や繊維同士の繋ぎとして樹脂が機能し、樹脂単体よりも丈夫になるため、この特性を利用して、樹脂だけで製造したものよりも強度や耐摩耗性に富んだ材料として販売されます。。
Markforged製品では、オニキスという専用フィラメントがこれに該当します。

もう一つは、Markforged社独自の「CFR(Continuos Fiber Reinfoeced:連続繊維強化)」技術で利用できる炭素繊維(カーボンファイバー)です。
これは3Dプリンターが物体を出力する際、必要な層と層の間に1mm以下ほどの直径の長くて連続性のある繊維を埋め込むようにして、強度を向上させるものです。

炭素繊維対応3DプリンターはMarkforged社のものが特に有名です。
他にも炭素繊維対応3Dプリンターの販売を行っているメーカーは存在しますが、炭素繊維対応3Dプリンターの話題の際にMarkforged社のものを思い浮かべておけばほぼ間違いないでしょう。

炭素繊維対応3Dプリンターで主に使われる材料

炭素繊維対応3Dプリンターではカーボン系の材料が多く使われますが、Markforgedで主に使われるのは「オニキス」「カーボンファイバー」などです。
各々について解説します。

オニキス

オニキス(Onyx)はMarkTwoをはじめ、Markforged社の3Dプリンターで核となる材料です。
オニキスは美しいブラックのフィラメントで、強靭なナイロンに微小なカーボンを加えて強化したもの。
寸法安定性に優れ、他の3Dプリンターのプラスチックの2倍の強度を持つため、工業用として申し分無いパーツの製造が可能です。

カーボンファイバー

カーボンファイバーは軽い、強い、硬いという特性があり、材料としての質量あたりの強度はオニキスの6倍、剛性は18倍にも達します。
カーボンファイバーによる強化は、羽根のような軽さとできる限りの硬さや強度が求められる場面で適していると言えるでしょう。

炭素繊維対応3Dプリンターの特徴

Markforgedの炭素繊維対応3Dプリンターにはさまざまな特徴が存在します。
主なものを挙げると「オニキスのみでの造形に加え、さらに連続繊維による強化が可能」「金属並みの強度でなおかつ軽い」「高精度で反りにくく熱変形もしにくい」などです。
各々について解説します。

オニキスのみでの造形に加え、さらに連続繊維による強化が可能

前項の一つ目としてご紹介したフィラメントに該当する、マイクロカーボン含有の「オニキス」のみでも、一般的なABS材料の約2倍の強度を持ちます。
オニキスはナイロン樹脂を主材料として、微細な炭素繊維が添加されており、マットブラックの美しい質感が特徴です。
さらに前項でお伝えしたとおり、Markforgedの炭素繊維対応3Dプリンターは独自の方式を用いた連続繊維強化での造形も可能です。つまり、炭素繊維が含まれていて丈夫なオニキスを、美しい質感はそのままに、さらに繊維強化することが可能です。
オニキスやオニキス+連続繊維での造形は、変形しにくい造形方法で低コストかつ高精度、そして美しい造形を可能にします。
また、連続繊維強化を使用して造形することで、モデルの強度、弾性、コストなどを自由に変えられるというメリットもあります。

金属並みの強度でなおかつ軽い

連続繊維を使用することによって強度をある程度自由に変えられる(上げられる)と前述しました。
Markforgedの炭素繊維対応3Dプリンターで、連続繊維を活用して強度を高めると、連続繊維の添加量や形状によっては、金属に匹敵するレベルにも及びます。
例えばアルミに比肩する強度が出せるのは、オニキス+連続繊維の時です。
なお、作りたい形状によって金属に匹敵するレベルにできる場合もあれば、そもそもほとんど強化できないような場合もあるため、炭素繊維対応3Dプリンター導入によって高強度を実現したいとお考えの場合は、造形モデルの形状を明確にし、プロにアドバイスを仰ぎながらプリンターを活用すると良いでしょう。

高精度で反りにくく熱変形もしにくい

Markforged社の炭素繊維対応3Dプリンターは、造形を一時的に中断し、プリントベッドを3Dプリンターから外し、部品を追加した後にプリントベッドを元に戻したとしても、高精度で造形を再開することが可能です。このことにより、一時停止中に製品内部に金属製ナットを埋め込むなど、造形物の機能を高める工夫を施すことが可能です。
また、製品によっては内臓センサーとレーザースキャンを搭載しており、造形中の精度を把握しながら最小積層ピッチ50μmで高い精度を誇った造形を可能にします。
熱にも強く、反りが起こりにくいのも炭素繊維対応3Dプリンターによる造形の特徴です。

炭素繊維対応3Dプリンターはどんな場面で活用される?

樹脂を材料とする一般的な3Dプリンターでは強度や耐熱性に不安が残る場合、金属材料を使用すれば解決することが多いですが、金属材料対応3Dプリンターは設備やコストの面で問題になりがちです。
炭素繊維などの繊維で強化された素材を用いることで耐熱性、安定性、精度、耐衝撃性などの特性が付与されるため、問題が一挙に解決するでしょう。

Markforged社の炭素繊維対応3Dプリンター

Markforged3Dプリンター

Markforged社は炭素繊維対応3Dプリンターの先駆者です。
炭素繊維対応3Dプリンターの開発・販売でMarkforged社の右に出るものはないでしょう。
同社ではさまざまな炭素繊維対応3Dプリンターの開発を行っていますが、ここでは「デスクトップシリーズ」「インダストリアルシリーズ」と大きく2つに分けてご紹介します。

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デスクトップシリーズ

デスクトップシリーズは、低価格で使える卓上の炭素繊維対応3Dプリンターです。
代表的なモデルに「Mark Two」があり、これはカーボンファイバーでの造形を世界ではじめて可能にした3Dプリンターです。
表面はオニキスやナイロンを使い滑らかに、内部をカーボンファイバーで造形することによって、強度と精度が飛躍的に進歩しました。
自動車や航空宇宙分野などの強度が重要視される領域での部品製造などに活用することができます。

デスクトップシリーズの詳細はこちら

インダストリアルシリーズ

インドストリアルシリーズは、レーザー機能搭載でより高精度の造形が可能な、大型の炭素繊維対応3Dプリンターです。
代表的なモデルは「X7」で、「Mark Two」などデスクトップシリーズよりも上位の機種になります。
大型のパーツが造形できるだけにとどまらず、カーボンをはじめとした繊維材料を使うことで、さまざまなシーンで実用できるパーツの造形が可能です。
X7」で造形された部品は、機械加工されたアルミニウムに比べて50倍高速で、20分の1のコストで製造することができます。
また、レーザー機能によって精度を制御することが可能で、より安定した造形を行うことが可能です。
X7Mark Twoよりもおおきい造形エリアを持つモデルですが、Markforgedにはさらに大型かつ高強度の製造需要に特化した、プロダクションシリーズの「FX20」という機種もあります。

インダストリアルシリーズの詳細はこちら

炭素繊維対応3Dプリンター選びであれば、日本3Dプリンター株式会社にお任せください!

本記事ではMarkforged社独自の「長繊維カーボン材料」に特化した3Dプリンターについてご紹介しましたが、日本3Dプリンター株式会社では樹脂に炭素繊維を混ぜ込んだタイプのフィラメント素材を使用できる3Dプリンターとして、Markforged社以外のものも含めて取り扱っております。

炭素繊維対応3Dプリンターを実際に使用した経験から、専任のスタッフが貴社のニーズにマッチしたプリンターをご提案いたします。
課題や目的を丁寧にヒアリングしながら候補となるプリンターを提示させていただき、それぞれの特徴を細かくご説明いたしますので、不明点などがあれば遠慮なくご質問ください。
貴社と一丸となって課題解決のサポートを行います。

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