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野⽣動物の追跡と保護に、最先端のFarsoon 3Dプリント製センサーユニットを活⽤

2023.01.04 更新日:2024.03.01

  • 3Dプリンター
  • Farsoon
  • 研究・医療
(図1)移動中のコウノトリに設置されたバックパック型HQBG5037S トラッカー

(図1)移動中のコウノトリに設置されたバックパック型HQBG5037S トラッカー (画像提供:Nanji Wetland Conservation Association)

2018年12⽉の定期パトロールの際、Nanji湿地のレンジャーが、廃棄された漁網に引っかかり負傷した3⽻のツンドラハクチョウを発⾒しました。
北部で営巣し、南部の好適な越冬地に⻑距離移動するツンドラハクチョウは、通常、湿地や湖に⽴ち寄って休息や採⾷をします。救助後すぐにレンジャーは⽩⿃を基地に連れ帰って検査、治療しました。(図2)

4⽇後、ツンドラハクチョウの状態は良好で、⾃然に帰る準備が整いました。そこで、レンジャーはハクチョウの回復と移動を追跡するために、カスタマイズした追跡装置を取り付け、⾃然に帰すことにしました。
これらの野⽣動物トラッカー(図3左)は、野⽣動物追跡とデータサービスを研究開発するHunan Global Messenger Technology社が3Dプリント⽣産⽤に設計し、Chongqing Additive Manufacturing Center(CAMC)がFarsoon HT403Pプラスチックレーザー焼結システムで⽣産したものです。

2019年を通じて、研究者は追跡装置から送信されたデータから、3⽻のハクチョウがロシア領内を往復していることを記録しました。
2019年末、3⽻はいずれも冬の間に中国に戻り、安徽省、湖北省、江蘇省に営巣していました。(図3右)

図2:3Dプリントしたトラッカーを3⽻の⽩⿃に取り付けてから湿地に放しているところ

図2:3Dプリントしたトラッカーを3⽻の⽩⿃に取り付けてから湿地に放しているところ(画像提供:Nanji Wetland Conservation Association)

図3:(上)Hunan Global Messengerが設計した Farsoonのプラスチックレーザー焼結技術で製作した⽩ ⿃⽤3Dプリントによるトラッカー。(下)追跡された3⽻のツンドラハクチョウの移動ルート

図3:(上)Hunan Global Messengerが設計した Farsoonのプラスチックレーザー焼結技術で製作した⽩ ⿃⽤3Dプリントによるトラッカー。(下)追跡された3⽻のツンドラハクチョウの移動ルート(画像提供:Nanji Wetland Conservation Association)

2014年以降、FarsoonはHunan GlobalMessengerと密接に連携し、野⽣動物のデータを追跡・記録するためのさまざまなデバイスを開発しています。
独⾃の設計と製品⽣産に積層技術を使⽤することで、Hunan Global Messengerは次の成果を達成することができました。

■ 短納期での製品⽣産とコスト削減
トラッカーの需要は通常、特定の動物種のための⼩ロット⽣産であり、従来の⽅法ではコストバランスの⾯で⽣産することができません。
これに積層技術を適⽤することで、コストバランスの⾼いソリューションを提供することができます。
ある⿃のトラッカーを例にとると、FarsoonのHT403Pプラスチックシステムは、わずか48時間で300個のトラッカーのハウジングを⽣産することができ、射出成形と⽐較して
⽣産サイクルの短縮と部品あたりのコストの75%削減を達成しています。(図4)

■ 性能と耐久性の向上
Farsoon社製の⾼性能FS3300PAを使⽤して製造された3Dプリントトラッカーは、-40℃から85℃までの厳しい条件の下、⽔深10mまでの⽔圧、⾼度1万mまでの環境で使⽤することができます。
2014年という早い時期に製造された部品が現在も使⽤されているように、積層技術によって⽣産したトラッカーは優れた耐久性を⽰しています。

■ 軽量化とカスタマイズ
積層技術は従来の加⼯と⽐較して、軽量化とカスタマイズに向けた設計最適化と特別な⼯具を必要としない製造の⾃由度をから、最終製品はわずか15〜35グラムの範囲に軽量化することに成功しています。
これは野⽣動物の重量の3%未満であり、移動中の⽣活活動の妨げになりません。それぞれの⽣物種に対して、その形態や⾝体の⼤きさに応じた独⾃のトラッカーが必要となるので、積層技術による⽣産はこの⽤途に適しているといえます。

図4:センサー搭載の⿃類追跡装置を⼩ロットで⽣産

図4:センサー搭載の⿃類追跡装置を⼩ロットで⽣産(画像提供:Nanji Wetland Conservation Association,Hunan Global Messenger Technology)

Farsoonの積層技術によって、保護協会は増え続ける野⽣動物種それぞれに適したトラッカーを開発し、従来⽐で50%低いコストでデバイスを製造することができるようになりました。
2019年6⽉までに、コウノトリ、タンチョウヅル、オジロワシ、エミュー、カンムリワシ、キクイタダキ、ヒメウミスズメ、クロラングール、ヘラジカ、カメなど5500種の野⽣動物の追跡に成功し、位置精度も向上し、有効データポイント数は2500万を超えています。(図5)
この取り組みは、⾃然保護活動家が移動と⽣活パターンを追跡して学習し、動物とその環境を理解し保護する能⼒を向上させるために⼤いに役⽴っています。

図6:野⽣動物トラッキング製品と対応する動物

図6:野⽣動物トラッキング製品と対応する動物(画像提供:Nanji Wetland Conservation Association, Hunan Global Messenger Technology)

Hunan Global Messenger Technologyについて

Hunan Global Messenger Technologyは野生動物追跡の技術開発、デバイス生産、データサービスを主な業務としており、主に野生動物研究、自然保護区管理、疫病監視、野生動物救助などに適用しています。当社は、世界中の大学、国立公園、野生動物救助センター、非営利野生動物保護協会など、100以上の組織と500人の科学者との協力関係を確立しています。詳細情報:www.en.hqxs.net

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