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【プロの解説!】3Dプリンターが進化した歴史背景とは?


昨今、突如として急に大きな注目を浴びるようになった3Dプリンターですが、実は3Dプリンターとしての歴史は30年以上前からある事を知っていましたか?ここでは、あまり知られていない3Dプリンターの歴史について紐解いていきたいと思います。

3Dプリンターの歴史とは?

 

本来の3Dプリンターとは、工業用として自動車や家電製品の部品サンプルを試作する為に活用されてきた機器です。特許が切れた事で、低価格化が進行して近年では急速に3Dプリンターの普及が広がっています。1990年代の会社や企業でも、商品開発の為に3Dプリンターは活用されており、その頃のプリンター価格と言うのは、1000万円以上する高価な機器でした。また、当時は3Dプリンターではなく、ラピッドプロトタイピングと言われており、「早く=Rapid」「試作=Prototype」という意味があります。個人や小規模企業が3Dプリンターを導入するには敷居が高く、導入していた多くは大手企業の商品開発部門や試作専門業者等が一般的となっていました。現在では、会社や企業の規模に関わらず多くの場で、3Dプリンターは活用されており活躍シーンは広まっています。

関連コラム:3Dプリンターとは?

 

最初に3Dプリンターを考案したのは日本人

3Dプリンターを考案して最初のは1980年です。名古屋で技術士として働いて小玉秀男氏によって、現在の3Dプリンターの元となる光造形の付加製造が開発されます。新聞印刷の仕組みを3次元製造に応用させた事が、3Dプリンターの始まりと言われています。
光造形の革新的部分と言うのは、従来の製造機械が物を削り出す手法に対し、物を積み重ねていく足し算手法の部分にあります。この手法によって、従来の製造手法では難しいとされていた複雑なインターフェースも表現となりました。当時は、ラピッドプロトタイピングと言われており、その名の通り早く試作品を作る事を目的に活用されていました。今でこそ、最終製品を作る機器として使用される3Dプリンターですが、当初は工業製品の試作品利用で活用されていた機器になります。

関連コラム:3Dプリンターの光造形方式とは?造形プロセスやメリット・デメリットなどについて解説!

 

米国で3Dプリンターと命名された

小玉氏は3Dプリンターの特許申請の出願中に海外へ留学に行きます。手続きには審査請求が必要になるのですが、留学中い審査制限が切れて無効になってしまいます。それから少し時間が経った1987年、米国でチャック・ハル氏が同様の特許出願を行います。特許名称として光造形を用いる3Dステレオリソグラフィー特許とし、内容は小玉氏の光造形の3次元造形と同様のものになります。そのタイミングで、3Dプリンターと言う現在の名前に上書きされます。
その後、チャック・ハル氏によって3D Systems社が創業します。同社は、後に世界最大の3Dプリンター企業として大きな成長を遂げます。米国の3DプリンターメイカーであるStratasysも、FDMの積層方式3Dプリンター特許を取得し、FDMは光造形とは異なる方式でプリントを行うタイプなります。その後、これら2社が取得した特許を元に3Dプリンターは大きく成長していき、世界的に3Dプリンターの実用化が始まっていきます。

 

時系列で見る3Dプリンターの歴史とは?
2006年オープンソースキット「RepRap」登場

イギリスが中心となって、デスクトップ型の3Dプリンターであるオープンソースハードウェアを立ち上げます。世界初となるオープンソース3Dプリンターとして、世の中の多くの人が利用されるようになります。現在でも、RepRapは家庭用3Dプリンターモデルになっています。

 

2009年3Dプリント技術特許が切れる

米国にて3Dプリンター技術特許が取得され、それから約20年が経った2009年にFDM方式3Dプリント技術特許が切れます。そのタイミングで、多くの会社や企業が3Dプリンター市場に参入するようになり、3Dプリンターは今まで以上の進化・改良されるようになっていきます。
特に、家庭用3DプリンターはFDM方式がメインだったので、企業から個人までが開発に取り組むようになります。このように、2009年を機に世の中では3Dプリンター時代を迎え、クラウドファンディングでも新たな3Dプリンターが登場しています。家庭用3Dプリンターは低価格やデザインの多角化が進んだ事で、1万円を切る機器も登場するようになります。また、産業用3Dプリンターに関しても、それこそ販売当初の頃は1台1億円程度していたプリンターが、3Dプリンター時代の頃には数百万~1千万円程度でハイクオリティの機器を購入する事ができる時代になります。

 

2012年米国オバマ大統領が3Dプリンターを支援

National Additive Manufacturing Innovation Instituteを略したNAMILは、3Dプリンターの積層造形技術開発を行ってる研究になります。他国言語の米国では、製造の際に2D図面より非言語な3Dプリンターの方が適しているという見解を持って、3Dプリンターの開発を積極的に行っている施設です。また、教育現場でも3Dプリンターを導入する等、米国で3Dプリンターが支援されるようになります。
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2013年3Dプリンターブーム到来

2012年頃から3Dプリンターの様々な話題が出てくるようになり、突如2013年に3Dプリンターブームが到来します。「3Dプリンターは何でも作れる箱!」と言うのがキャッチコピーとなって、多くのメディアに取り上げるようになります。リーズナブル価格な家庭用3Dプリンターの登場、ペット・人物のフィギュア製作等、会社や企業だけに留まらず一般の方も興味・関心を持ち始めるようになっていきます。
3Dプリンターブームは昔にも何度かありましたが、最終製品に使用されると言う点が今まで最も大きな盛り上がりを見せたきっかけになります。医療、エンターテイメント、バイオ、アパレル等、3Dプリンターの活躍シーンは多岐に渡り大きな可能性を見せる事になります。また、アベノミクスの影響が追い風になり、会社や企業が設備投資に3Dプリンター導入を試みる事も多くなりました。
同時期に、有名大手企業が3Dプリンター市場に参入し、ブース到来の2013年には動画コンテンツ配信業者も参入する等、市場も大きく盛り上げりを見せます。このように、異業種問わずに多くのプレイヤーが増え、家電量販店でも3Dプリンターを取り扱うようになります。こうして次々に大手企業が3Dプリンター市場に参入し、日本市場も活発になっていった歴史があります。

 

3Dプリンターブームのきっかけとは?

3Dプリンターにとって2013年は大きな節目の年です。この年に行われたオバマ大統領の一般教科書演設が注目のきっかけになっています。「The 3D Printing that has the potential to revolutionize the way we make almost everything.(3Dプリンターはものづくりに急激な変化をもたらす可能性がある)」と会議で発表され、施政方針でオバマ大統領が3Dプリンターを取り上げた事で、世の中の3Dプリンターに対する注目度が一気に高まります。3Dプリンターは、もはや産業界から一般にまで広く知られる言葉となっていきます。
こうして、一般層にも浸透した3Dプリンターは、多くの人が高い関心を示すようになります。3Dプリンター元年と言われていた2013年は、3Dプリンター展示会ブースで予想の超える人が訪ねる等、高い人気を伺う事ができます。テレビや雑誌等でも取り上げられた事で、3Dプリンターのセミナーは常に満員の状態が続きました。

 

3Dプリンターの未来を語る著作

3Dプリンターブームを語る上で欠かせないのが、2012年出版のクリス・アンダーソン著作「MAKERS~21世紀の産業革命が始まる~」です。3Dプリンターをものづくりの根本から変える革新的技術として捉えて書かれた本になります。アメリカのタイム誌で世界に影響力のある100人にも選ばれたクリス・アンダーソンですが、今までには無かった新しいものづくりの概念であるパーソナルファブリケーション示しました。

 

時代のパソコンや技術の普及が追い風となる

オバマ大統領が一般教科書演説で積層造形に焦点を当てると宣言、前年の2012年にはアメリカ国防省がNAMII創立に3000万ドルを投入する等、アメリカでは3D造形技術開発が積極的に行われています。また、3D CADの普及、パソコンやグラフィックス環境向上、3次元積層造形技術進化等、これらの要素もブーム到来の大きな要因になります。こうして、2013年まさに官民を挙げての政策、投資、関心が重なった年と言え、新しい時代の技術として登場したのです。

 

最新の3Dプリンターの傾向とは?
リーズナブル価格な3Dプリンターが増えた

日本でもクラウドファンディングサービスが広まり、3Dプリンターの特許切れとの相乗効果で、現在ではリーズナブルな3Dプリンターが数多く開発されています。多くの技術者が参入してしのぎを削り、短時間で3Dプリンターの改良が重ねられ、機器の品質に関しても一定レベルの安定したものが製作されるようになっています。3Dプリンター開発初期の安価でそれなりの性能の機器から、現在は安価でありながら一定レベルの品質機器にまで進化しています。なので、簡単な試作品であれば十分な性能になっている機器が今は多く販売されています。

 

ハイクオリティな3Dプリンターの進化

一方、産業用のハイクオリティな3Dプリンターも同様です。実際に、様々な3Dプリンター開発が進められており、CLIP製法方式の新しい性能を持った3Dプリンターが実用化されたり、新しい技術が採用された新製品が発売されたり、新しい技術を採用した製品が次々に生み出されています。このように、今まで以上により実用化できて、最終製品として使用できると言う事を目指して3Dプリンター開発が進んでいます。
今でも産業用として3Dプリンターは、試作品をはじめ一部最終製品にも使用されてきましたが、より一層使用頻度が高まっていく事が予想されています。もはや、航空宇宙産業では1gでもパーツの重量を軽くする為に、1つでもパーツ数を減らす為に、3Dプリンターが使用されている事は、知る人ぞ知る事実ですよね。このように、3Dプリンターで作られたものが広まり、あらゆる身近なものが3Dプリンターで作られる時代になる事が予測されています。

 

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